子どもがロブロックス(Roblox)のゲーム制作を始めると、
「うまくいけばロバックスを稼げるかもしれない」
と期待することがあります。
ところがゲームを公開しても人が来ない。
ロバックスもほとんど入らない。
何か月か続けても人気ゲームにはならない。
そんな状態を見ると、親としては、
「これ、続けて意味があるの?」
と思うかもしれません。
結論からいうと、稼げなかったことだけで制作経験が無駄だったとは判断できません。
見るべきなのはロバックスの残高ではなく、
自分で考えたものを作ったか。
動かして試したか。
うまくいかない原因を探したか。
自分で直したか。
他人に遊んでもらって変更したか。
です。
この一連の経験があるなら、収益が0でもゲーム制作としてやってきたことは残ります。
一方、動画と同じものをコピーするだけになっている場合や、制作自体にもう興味がない場合は、「勉強になるから」と無理に続ける必要もありません。
独学を続けるか教室へ進むかも、稼げた金額ではなく、どこで止まっているかを見て判断します。
- 稼げるゲームを作ることと、ゲームを作れるようになることは別
- 本当に役立つのは「完成した作品」より途中でやったこと
- 「プログラミングを覚えたか」だけでも見ない
- ただし「Robloxをやれば能力が伸びる」とは言い切れない
- 教材をコピーした後に一つ変えられるかを見る
- エラーが出たときの行動も大きなサイン
- 独学で続けてよい子は「自分で次を作っている」
- 教室を考えたいのは「やめたい子」ではなく「進みたいのに止まっている子」
- 自由に作れることが、逆に壁になる時期がある
- 同じエラーを先生に直してもらうだけでは意味が薄い
- 「カリキュラムが進む教室」より、その子が何を作っているかを見る
- 教室へ入れる前に短期体験でも十分
- 稼げないことが理由で教室へ行く必要はない
- もうStudioを開かないなら、休んでもいい
- 親が見るならロバックスより「前より何ができるようになったか」
- 独学・教室・休むの境界はここ
- 出典
稼げるゲームを作ることと、ゲームを作れるようになることは別
まず分けたいのはここです。
Robloxでは、自分が作ったゲームからロバックスを得る仕組みがあります。
しかし、ゲームを作れるようになれば必ず稼げるわけではありません。
公開したゲームがユーザーへ表示される。
アイコンを見て遊んでもらう。
入った人がすぐ帰らない。
何日か後にも戻ってくる。
さらにゲーム内の商品へお金を使ってもらう。
こうした複数の段階を通って、初めて収益につながります。
つまり、プログラムが書けても人が来ないゲームはあります。
逆に、単純な仕組みでも多くの人が遊ぶゲームもあります。
「稼げなかった」
という一つの結果だけで、
「プログラミングが身につかなかった」
「ゲーム制作には向いていなかった」
とは決められません。
収益と制作経験は、別々に見たほうがよいでしょう。
本当に役立つのは「完成した作品」より途中でやったこと
Roblox Studioでは、ただコードを書くわけではありません。
たとえばアスレチックゲーム一つでも、
どんなステージにするか考える。
3D空間へ部品を置く。
大きさや位置を変える。
キャラクターを動かして試す。
難しすぎれば配置を直す。
プログラムで仕掛けを作る。
動かなければ原因を探す。
友達に遊んでもらう。
分かりにくい部分を直す。
という作業が出てきます。
Roblox公式の初心者向け教材にも、3D制作だけではなく、ゲームの設計、プレイテスト、変数や繰り返し処理を使ったプログラム、問題の修正、他の人からのフィードバックを受けた改善まで含まれています。
だから、
「何人に遊ばれたか」
だけを見ると、制作中に経験した部分が全部抜け落ちます。
「プログラミングを覚えたか」だけでも見ない
制作経験の価値を、
「コードを何行書けるようになった?」
だけで測る必要もありません。
ゲーム制作では、
やりたいことを小さく分ける。
どの順番で処理するか考える。
実際に動かす。
予想と違ったところを探す。
修正して再び試す。
ということを繰り返します。
たとえば、
「ドアに触れたら開くようにしたい」
なら、
何をきっかけにするか。
どのドアを動かすか。
どこまで開くか。
一度だけなのか毎回なのか。
を分けて考えます。
コードそのものを忘れたとしても、このように問題を小さく分けて試す経験は残ります。
ただし「Robloxをやれば能力が伸びる」とは言い切れない
ここは反対側も見ておいたほうがよいところです。
Roblox Studioを触っているだけで、自動的にプログラミング能力や問題解決力が身につくわけではありません。
たとえばYouTube動画を見ながら、
ここをクリック。
このコードをコピー。
この数字を入力。
と言われた通りに進み、完成後は二度と触らない。
これでも操作経験にはなります。
しかし、
「なぜこのコードが必要なの?」
「この数字を変えたらどうなる?」
「別のゲームにも使える?」
というところまで進んでいる子とは、経験の中身が違います。
見るべきなのは「Roblox Studioを何時間使ったか」より、
自分で変更し始めたか
です。
教材をコピーした後に一つ変えられるかを見る
制作経験が身についているかを見る簡単な方法があります。
完成した教材を、そのまま終わらせないことです。
たとえば教材で、
踏むと色が変わる床
を作ったとします。
そこで、
色が変わる時間を変えてみる。
踏んだら消えるようにする。
しばらくしたら戻るようにする。
別の部品でも動かしてみる。
と本人が変更できるかを見ます。
最初は失敗して構いません。
むしろ、
変更したら壊れた。
元へ戻した。
別の方法を試した。
という経験のほうが、制作では重要です。
「教材を最後まで終えたか」より、「教材から外れた瞬間にどう動いたか」を見ると分かりやすくなります。
エラーが出たときの行動も大きなサイン
ゲーム制作では、思った通りに動かないことが普通にあります。
そこで、
「分からないから終わり」
になるのか、
エラーメッセージを見る。
昨日動いていたところと比べる。
一つずつ変更を戻す。
検索してみる。
別のコードを試す。
という行動をするのか。
ここに違いがあります。
プログラムで問題を見つけて直すことを「デバッグ」と呼びます。
言葉を覚えることより、失敗したときに原因を探す経験そのものが重要です。
ゲーム制作を使ったプログラミング教育の研究でも、アルゴリズム的に考える力や、問題を見つけて修正する経験が学習の重要な部分として扱われています。
独学で続けてよい子は「自分で次を作っている」
Robloxには無料の公式教材があります。
一時間以内でできる初心者向け制作から、プログラミングの基礎、アニメーション、3D制作、ゲーム一本を設計する教材まで用意されています。
そのため、
「ゲーム制作を学ぶなら必ずプログラミング教室」
ではありません。
たとえば子どもが、
分からないことを検索できる。
公式教材を自分で進められる。
エラーが出ても少し粘れる。
完成したものを自分流に変える。
次に作りたいものが自分で出てくる。
という状態なら、まだ独学で進められます。
教室へ入ることで得られるものがないわけではありません。
しかし、本人が自分で回せている制作を「もっと勉強らしくするため」に教室へ変える必要はありません。
教室を考えたいのは「やめたい子」ではなく「進みたいのに止まっている子」
教室を考える境界は、
「難しそうだから」
だけではありません。
重要なのは、
まだ作りたいと思っているか
です。
たとえば、
「こんなゲームを作りたい」
という話はずっとしている。
Studioも何度も開いている。
しかし、同じところで毎回止まる。
動画を見ても意味が分からない。
コードを貼れば動くが、なぜ動くのか説明できない。
少し変更すると全部壊れて戻せない。
作りたいものが今の知識より大きくなってきた。
という状態です。
これは「飽きた」のではありません。
興味が知識を追い越している状態です。
こうなったら、先生に質問できる環境を試す意味があります。
自由に作れることが、逆に壁になる時期がある
Roblox Studioの魅力は自由度の高さです。
ほとんど何でも作れるため、最初は楽しいでしょう。
しかし、
「オンライン対戦ゲームを作りたい」
「ペットを育てて保存したい」
「ランキングを作りたい」
など、作りたいものが複雑になると話が変わります。
何から勉強すればよいか自体が分からなくなることがあります。
プログラミング教育の研究でも、自由制作だけでは、初心者が自分のアイデアを実際に動く作品へ変えられず、途中で単純な作品へ戻ったり完成できなかったりする問題が指摘されています。
この段階では、
答えを全部教えてくれる人
ではなく、
「まずここから作ろう」
と問題を小さく分けてくれる人が役立ちます。
これが教室へ進む理由になります。
同じエラーを先生に直してもらうだけでは意味が薄い
教室へ入れば何でも解決するわけでもありません。
先生が毎回、
「ここが間違っているよ」
とコードを直して完成させてしまえば、本人が原因を考える時間が減ります。
Roblox公式の教育教材でも、問題が起きたときは先生がすぐ答えを渡すのではなく、質問をして子ども自身に原因を考えさせる方法を勧めています。
教室を体験するなら、
子どもが質問できているか。
先生がすぐ答えを入力していないか。
なぜ直ったのか説明しているか。
自分の作品を作る時間があるか。
を見るほうが重要です。
「カリキュラムが進む教室」より、その子が何を作っているかを見る
教室へ通い始めると、
初級。
中級。
上級。
と進級することがあります。
それ自体は悪くありません。
しかし、「中級へ進んだ」だけでは制作経験の中身は分かりません。
体験授業や入会後に親が見たいのは、
今回は何を作ったのか。
どこを自分で考えたのか。
どこで困ったのか。
どうやって直したのか。
次は何を作りたいのか。
です。
この話が本人から出てくるなら、教室を学習の道具として使えています。
教室へ入れる前に短期体験でも十分
迷っているなら、最初から長期間の契約をする必要はありません。
短期講座や体験授業で、
先生がいると自分から質問するか。
説明された内容を自分のゲームで使おうとするか。
授業後にも続きを作るか。
を見ます。
授業の90分だけ制作して、それ以外ではStudioをまったく開かない。
という状態なら、教室が本人の制作意欲を作っているだけかもしれません。
反対に、
授業で知った方法を家でも試す。
違う使い方を始める。
次回に質問したいことを用意する。
となれば、教室が本人の興味を先へ進めています。
稼げないことが理由で教室へ行く必要はない
「独学では稼げなかったから、教室へ行けば稼げるようになる」
という考え方は分けたほうがよいでしょう。
Robloxで収益を出すには、コードだけではなく、
ゲームそのものの面白さ。
初めて入った人への分かりやすさ。
何度も遊びたくなる仕組み。
人に見つけてもらう方法。
ゲーム内で何を販売するか。
なども関係します。
先生にプログラミングを教えてもらったからといって、人気ゲームになる保証はありません。
教室へ行く目的は、
「稼げるゲームを作ってもらう」
ではなく、
本人が一人では越えられなくなった技術の壁を越える
と考えたほうが分かりやすいでしょう。
もうStudioを開かないなら、休んでもいい
反対に、
ゲーム制作の話をしなくなった。
Studioをまったく開かない。
新しいものを作りたいと言わない。
エラーを直すことにも興味がない。
という状態なら、教室を契約して続けさせる必要もありません。
「せっかくパソコンを買ったから」
「ここまで勉強したから」
という理由だけで続けても、制作経験が深くなるとは限りません。
ゲーム制作をやめたとしても、それまでに経験した、
パソコン操作。
3D制作。
プログラム。
失敗と修正。
作品を人に見せた経験。
まで消えるわけではありません。
半年後にまたやりたくなることもあります。
いったん離れることも選択肢です。
親が見るならロバックスより「前より何ができるようになったか」
制作を始めたばかりの頃と比べてみます。
最初は部品を一つ置くのにも苦労していた。
今は自分でステージを作る。
最初はコードを全部コピーしていた。
今は数字や条件を自分で変える。
最初は動かないと親を呼んでいた。
今はエラーを自分で調べている。
最初は自分だけが遊ぶゲームだった。
今は友達に遊ばせて意見を聞いている。
こうした変化があるなら、ロバックスが0でも制作経験は積み上がっています。
逆に、一年続けても毎回動画をそのまま写しているだけなら、
「長くやったから十分学んだ」
とは限りません。
時間ではなく、行動の変化を見ます。
独学・教室・休むの境界はここ
最終的には「稼げたか」ではなく、制作中の状態で判断できます。
自分で調べ、試し、直し、次の作品へ進んでいるなら、独学を続けて構いません。
まだ作りたいのに、コードや設計の同じ壁で何度も止まり、自分では次に何を学べばよいか分からなくなったら、教室や詳しい人のサポートを試す時期です。
そして、もう本人が作りたいと思っていないなら、休んでも構いません。
「稼げなかったから失敗」でも、「勉強になるから絶対続ける」でもありません。
Roblox制作で見るべきなのは、ゲームの売上ではなく、
昨日できなかったことを、自分で考えて今日できるようになっているか。
そこが続けるかどうかを判断する一番分かりやすい基準です。
出典
Roblox|Education and Skill Development on Roblox
Robloxでのコーディング・デジタル制作・自習に関する公式資料
Roblox|Education content
個人学習にも利用できる無料教材・カリキュラムに関する公式資料
Roblox|Intro to coding and game design
ゲーム設計、3D制作、変数、繰り返し、テスト、問題修正に関する公式教材
Roblox|Frequently asked questions
Roblox Studioで学ぶコンピューター科学・プロジェクト計画に関する公式資料
Roblox|Build It, Play It challenges
初心者向け自習型制作教材に関する公式資料
Roblox|Discovery
ゲームが発見・推薦される条件に関する公式資料
Education and Information Technologies|Computational thinking with game design
ゲーム制作型プログラミング学習とアルゴリズム思考・デバッグ等に関する研究
Educational Technology Research and Development|Computational thinking beyond coding
自由制作で初心者が直面する壁と段階的な学習支援に関する研究

