子どもがScratch(スクラッチ)でゲームを作れるようになってくると、
「そろそろ次のプログラミングへ進んだほうがいい?」
と考えることがあります。
そこで候補になるのが、ロブロックス(Roblox)のゲーム制作です。
まず、Scratchが何か分からない方のために整理します。
Scratchは、色付きの「命令ブロック」をパズルのようにつなげて、ゲームやアニメーションなどを作る無料のプログラミング環境です。
たとえば、
「右へ10歩動く」
「もし敵に触れたらライフを1減らす」
「ずっと繰り返す」
といった命令を、文字で一から書くのではなく、用意されたブロックを選んで組み合わせます。
そのため、プログラムの文字の書き方を知らない子どもでも、「何を、どの順番で動かすか」という考え方から始められます。
一方、Robloxで自分のゲームを作る「Roblox Studio(ロブロックス・スタジオ)」では、このブロックを使いません。
「Luau(ルアウ)」というプログラミング言語を、キーボードで文字として入力します。
つまりScratchからRobloxへ進むと、
「ブロックを組むプログラミング」
から、
「文字を書くプログラミング」
へ一段変わります。
ではScratchをある程度やったら、次はRobloxへ進めばよいのでしょうか。
結論からいうと、十分ありです。
ただし、
「Scratchを1年やったから」
「小学4年生になったから」
「Scratchは子ども向けだから」
という理由だけで移る必要はありません。
見るのは、Scratchでどこまで自分で考えるようになったかと、その子が次に何を作りたいかです。
- ScratchからRobloxへ行っても、全部ゼロから覚え直すわけではない
- まだ教材どおりにブロックを置いているなら急いで移らなくてよい
- Scratchは簡単な子ども用だから卒業する、ではない
- Robloxを試しやすいのは、自分で条件を考え始めた子
- 変数を自分で使い始めているかも見る
- 一番大きく変わるのは「1文字間違えても動かなくなる」こと
- Scratchで「なぜ動かない?」を考えるようになった子は移りやすい
- Robloxを次に選ぶなら「3Dゲームを作りたい」が一番強い理由
- 「文字のプログラミングを勉強させたい」だけならRobloxでなくてもよい
- Robloxでは最初からプログラムだけを書くわけではない
- Scratchで使っていた考えを一つだけRobloxで作ってみる
- Roblox Studioは無料なので、まず試せる
- 一度Robloxへ行ってもScratchへ戻ってよい
- 親が見るなら「Scratchを何年やったか」より作品を見る
- Robloxへ進まずScratchを続けたほうがよい場合
- Robloxを試してよいサイン
- Scratchの次にRobloxは「進級」ではなく道具を変えること
- 出典
ScratchからRobloxへ行っても、全部ゼロから覚え直すわけではない
見た目だけを見ると、ScratchとRobloxのプログラミングはかなり違います。
Scratchでは、
「もし○○なら」
というブロックがあります。
Robloxでは、同じような考えを文字で書きます。
Scratchではゲームの得点を覚えておくために「変数」という仕組みを使えます。
変数とは、数字や文字を一時的に覚えておく箱のようなものです。
Robloxにも変数があります。
Scratchで同じ処理を何度も行う「繰り返し」を使っていれば、Robloxでも繰り返しという考え方は登場します。
つまり、
条件によって動きを変える。
数字や文字を覚えておく。
同じ処理を繰り返す。
何かが起きたら処理を始める。
といった考え方まで別物になるわけではありません。
違うのは、その考えをブロックで表すか、文字で表すかです。
まだ教材どおりにブロックを置いているなら急いで移らなくてよい
Scratchで作品を作っているからといって、すぐ次へ進まなければならないわけではありません。
たとえば、
先生が置いたブロックと同じものを置く。
動画に出てきた順番どおり並べる。
完成したら終わり。
という段階なら、Scratchでもう少し自分で作る経験を増やせます。
Robloxへ移ると、今度は教材に書いてある文字をそのまま入力するだけになりかねません。
大切なのは、
「この数字を変えたらどうなる?」
「敵をもう1体増やしたい」
「ライフを3ではなく5にしたい」
「自分だけのルールを追加したい」
と、教材から外れて自分で変更し始めることです。
Scratchなら文字入力を気にせず、プログラムの仕組みを考えるところへ集中できます。
まだそこを楽しんでいるなら、急いでScratchを「卒業」する必要はありません。
Scratchは簡単な子ども用だから卒業する、ではない
Scratchはブロック式なので、画面だけを見ると簡単そうに見えます。
しかし、できることが「簡単な作品」に限られているわけではありません。
条件をいくつも組み合わせる。
変数へ情報を保存する。
複数のキャラクターを同時に動かす。
リストにたくさんの情報を保存する。
自分専用の処理をまとめる。
といったこともできます。
Scratch Foundationにも、初心者向けだけでなく、条件分岐や変数などを扱う中級・上級向け教材があります。
そのため、
「ブロックを使っている=初心者」
ではありません。
Scratchでまだ作りたいものがあり、自分の力で作品が複雑になっているなら、そのまま続けても構いません。
Robloxを試しやすいのは、自分で条件を考え始めた子
次へ進むサインとして見やすいのが、
「もし○○なら、こうする」
を自分で考えられるようになったときです。
たとえば、
敵に触れたらライフを減らす。
ライフが0になったらゲームオーバーにする。
コインを10枚取ったらゴールを開ける。
残り時間が0になったら終了する。
こうした仕組みです。
難しい言葉で「条件分岐を理解している」と説明できる必要はありません。
「敵に触れたときだけ減らしたい」
と本人が考えられていれば十分です。
Robloxへ移った後は、その同じ考えをLuauという文字で書くようになります。
変数を自分で使い始めているかも見る
Scratchでゲームを作っているなら、得点やライフを表示しているかもしれません。
たとえば、
ゲーム開始時はスコア0。
コインを取ったら1増える。
10になったらクリア。
とします。
この「現在のスコア」を覚えておくところに変数を使います。
Robloxでも同じように、
プレイヤーの得点。
残り時間。
アイテムの数。
現在の状態。
などを覚えておくために変数を使います。
Scratchで、
「点数をどこかに覚えておかないといけない」
と分かっているなら、文字へ移った後も考え方を使えます。
一番大きく変わるのは「1文字間違えても動かなくなる」こと
Scratchから文字のプログラミングへ進むとき、最初に戸惑いやすいのはここです。
Scratchではブロックそのものが命令です。
変な形のブロックは、そもそも入らない場所があります。
Robloxでは自分で文字を書きます。
そのため、
アルファベットを一つ間違えた。
大文字と小文字が違った。
必要な記号を入れ忘れた。
名前を少し間違えた。
といったことでも、思ったように動かなくなる場合があります。
文字を使うプログラミングでは、この「書き方の間違い」も自分で探す必要があります。
だからRobloxへ進む判断で重要なのは、
タイピングが速いか
ではありません。
間違ったときに、文字を見直してもう一度試せるか
です。
Scratchで「なぜ動かない?」を考えるようになった子は移りやすい
Scratchでも、思ったように動かないことがあります。
そこで、
全部消してやめる。
すぐ答えを見る。
ではなく、
「どのブロックからおかしくなった?」
「数字を変えたら?」
「この条件が違う?」
と考えるようになっているなら、大きなサインです。
プログラムのおかしいところを探して直すことを「デバッグ」と呼びます。
難しい言葉を覚える必要はありません。
重要なのは、
作る。
動かす。
おかしい。
原因を探す。
直す。
もう一度動かす。
という行動を経験していることです。
Robloxへ進むと文字入力の間違いまで増えるので、この「直そうとする行動」がScratch以上に重要になります。
Robloxを次に選ぶなら「3Dゲームを作りたい」が一番強い理由
文字を書くプログラミングはRobloxだけではありません。
Python(パイソン)など、ほかにも選択肢があります。
そのため、
「Scratchの次だからRoblox」
では理由が足りません。
Robloxを選ぶ大きな理由は、
3Dゲームを作りたい。
普段遊んでいるRobloxのようなゲームを作りたい。
自分でアスレチックを作りたい。
友達に自分のゲームへ入ってもらいたい。
という本人の目的です。
Scratchは基本的に平面の画面を中心に作品を作ります。
Roblox Studioでは、
左右。
上下。
前後。
がある3D空間を作ります。
床を置く。
建物を作る。
障害物を配置する。
キャラクターが歩く場所を作る。
その中へプログラムで仕掛けを加える。
という制作になります。
この3Dゲーム制作そのものに興味がある子なら、Robloxへ移る意味があります。
「文字のプログラミングを勉強させたい」だけならRobloxでなくてもよい
反対に、
「そろそろ文字のプログラミングを勉強させたい」
という親側の理由しかない場合は、一度考えてもよいでしょう。
本人が、
ゲーム制作には興味がない。
3D空間を作りたいわけでもない。
Roblox自体にも興味がない。
なら、Robloxを選ぶ必要はありません。
たとえば、
人工知能に興味がある。
計算を自動化したい。
データを扱ってみたい。
ならPythonという選択肢もあります。
ホームページやブラウザ上で動くものを作りたいなら、Web制作へ進む方法もあります。
Scratchの次は一本の道ではありません。
「文字へ進ませたい」ではなく、
「次に何を作りたい?」
から決めたほうが自然です。
Robloxでは最初からプログラムだけを書くわけではない
ScratchからRobloxへ進むと、
「急に黒い画面へ英語のコードを何十行も書くのでは?」
と心配するかもしれません。
Roblox Studioでは、プログラム以外の制作もできます。
部品を置く。
大きさを変える。
色を変える。
建物を作る。
地形を作る。
ゲームを実際に動かして試す。
という3D制作があります。
そこへ必要に応じてLuauのプログラムを加えます。
たとえば、
まずアスレチックを作る。
その後、
「この床へ触れたら消えるようにしたい」
となったときに短いプログラムを追加する。
この入り方でも構いません。
Scratchから移ったその日に、すべてを文字で作る必要はありません。
Scratchで使っていた考えを一つだけRobloxで作ってみる
移行できそうか試すなら、いきなりゲーム一本を作る必要はありません。
Scratchで本人が作った仕組みを一つ選びます。
たとえば、
触れたら色が変わる。
スコアが増える。
一定時間待って動く。
何回も同じ動きをする。
といったものです。
それをRoblox Studioで作ってみます。
すると、
「Scratchでやっていたことと考え方は似ている」
と気づくことがあります。
逆に、
「文字を打つのが嫌で、ゲームを作るどころではない」
となるかもしれません。
それなら、まだScratchを続けても構いません。
実際に一つ作れば、本人にとって文字入力が今ちょうどよい壁なのか、まだ大きすぎる壁なのかが見えてきます。
Roblox Studioは無料なので、まず試せる
Roblox Studioは無料です。
WindowsパソコンまたはMacで利用できます。
そのため、条件を満たす家族のパソコンがあるなら、Scratchから移るか決める前に試せます。
専用パソコンを買う。
プログラミング教室へ申し込む。
というところから始める必要はありません。
Roblox公式には、Studioを初めて触る人向けの教材や、Luauの基本を学ぶ教材もあります。
一度触って、
「難しいけど続きをやりたい」
となるのか、
「Scratchのほうで続きを作りたい」
となるのかを見ます。
一度Robloxへ行ってもScratchへ戻ってよい
ScratchからRobloxへ進むことを「卒業」と考えないほうがよいでしょう。
Robloxを始めた後でもScratchを使えます。
たとえば、
ゲームの仕組みをScratchで簡単に試す。
Robloxで3D版を作る。
という使い方もできます。
ScratchにはScratchの作りやすさがあります。
Robloxには3D空間やRoblox上で公開できる強みがあります。
プログラミングは、
小学3年生はScratch。
小学5年生はRoblox。
中学生はPython。
のように、一度進んだら前へ戻れないものではありません。
作りたいものによって道具を選びます。
親が見るなら「Scratchを何年やったか」より作品を見る
次へ進むべきか迷ったら、Scratchの学習期間より実際の作品を見ます。
子どもに、
「この敵はどうやって動いてるの?」
「スコアはどうやって覚えてるの?」
「ここを変えたいならどうする?」
と聞いてみます。
本人の言葉で、
「ここに当たったらこうなる」
「この箱みたいなところに点数を入れてる」
「ここの数字を変えれば速くなる」
と説明できるなら、プログラムの仕組みを理解し始めています。
専門用語を答えるテストではありません。
本人が、
「自分が何を作ったのか」
を分かっているかを見るだけです。
Robloxへ進まずScratchを続けたほうがよい場合
Scratchを続ける選択が合っている子もいます。
まだ教材をそのまままねることが中心。
自分でブロックを変えることはほとんどない。
Scratchでまだ作りたい作品がたくさんある。
文字入力をすると制作そのものが止まってしまう。
3Dゲームには特に興味がない。
こうした場合です。
「いつまでもScratchでは遅れる」
と考える必要はありません。
Scratchでも、条件・変数・繰り返しなどを組み合わせた複雑な作品を作れます。
ブロックだから簡単なのではなく、考えることに集中しやすい道具です。
Robloxを試してよいサイン
逆に、次のような変化が出ているならRoblox Studioを一度試す価値があります。
Scratchで自分のゲームを作っている。
条件によって動きを変える仕組みを自分で考える。
スコアなどを自分で管理している。
動かないとき、ブロックを見直して直そうとする。
教材を完成させた後、自分なりに変更する。
そして、
「Robloxみたいな3Dゲームを自分で作りたい」
と言っている。
ここまで来たら、
「Scratchが終わったから」
ではありません。
本人の作りたいものが、ScratchだけではなくRoblox Studioへ広がってきた
と考えられます。
Scratchの次にRobloxは「進級」ではなく道具を変えること
Scratchの次にRobloxは、十分ありです。
Scratchで覚えたプログラミングの考え方は、Robloxへ行って全部消えるわけではありません。
条件によって処理を変える。
情報を覚えておく。
処理を繰り返す。
動かなければ原因を探す。
こうした考え方はRobloxでも使います。
変わるのは、主にその書き方です。
Scratchではブロック。
RobloxではLuauという文字。
そして2D中心の作品から3Dゲーム制作へ世界が広がります。
だから、ScratchからRobloxへ進む判断で見るのは、
「Scratchを何年やった?」
ではありません。
ブロックで覚えた考え方を自分で使えるようになってきたか。
そして、
文字を入力してでも作ってみたい3Dゲームがあるか。
この二つがそろったとき、Roblox StudioはScratchの次として自然な選択肢になります。
出典
Scratch Foundation|About Scratch
Scratchとは何か、対象年齢、ゲーム・アニメーション等の制作についての公式資料
Scratch Foundation|Scratch
ブロックを組み合わせるプログラミング方式についての公式資料
Scratch Foundation|Conditional Statements
条件によって処理を変えるプログラムについての公式教材
Scratch Foundation|Variables and Lists
得点などを保存する変数についての公式教材
Scratch Foundation|Scratch’s Creative Learning Philosophy
問題を分け、試し、修正する学習についての公式資料
Roblox|Frequently asked questions
Scratch型のブロック方式とRoblox StudioのLuauの違いについての公式資料
Roblox|Coding fundamentals
変数・関数・条件分岐・繰り返しなどLuauの基礎についての公式資料
Roblox|Roblox Studio setup
Roblox Studioの料金・対応パソコンについての公式資料

